CAさんの長距離フライトのスケジュールを聞いた!上空で仮眠はできる?食事は?現地のホテルは?帰国後の休みは?
国際線のCAさんといえば、飛行機に乗って世界中を飛び回っているというイメージですが、実際にどのようなスケジュールでお仕事をしているのかご存知ですか?
今回の記事では、現役国際線客室乗務員(キャビンアテンダント、CA)さんに、長距離フライトに乗務する際のスケジュールについて聞いてみました。
目次
CAの勤務スケジュール
CAの勤務スケジュールは、その日に乗務する路線によって大きく異なります。
乗務するフライトに合わせて、早朝に出社することも深夜に出社することもあります。
そのため、早朝便の前日は早く寝る、深夜便の当日は昼寝をしていく、といった体調管理は欠かせません。
基本的に、アメリカ、ヨーロッパへの長距離フライトであれば4日間、オセアニアや東南アジア等への中距離フライトであれば3日間かけて往復します。
中国や韓国等への短距離フライトであれば、現地ホテルに泊まることなく、1日で往復フライトをすることが多いです。
今回の記事では、羽田-ニューヨークの長距離フライトを例に、CAのスケジュールを紹介していきます。
フライト前日の過ごし方
体調管理
まずは次の日の出社時間と出社場所(羽田空港or成田空港)を確認し、出社場所へ向かうバスや電車を決め、起床時間を決めます。
出発予定時刻が午前10時30分の羽田発ニューヨーク行きのフライトでは、起床時間は朝5時頃です。
今日は早めに寝よう、と思いながら1日を過ごします。
このように、フライト前日は、翌日のフライト時間に合わせて体調管理をします。
荷造り
ステイの有無や日数、ステイ先の気温等を確認して必要な荷造りをします。
イレギュラーなことや、急なスケジュール変更にも対応できるよう、衣類やアメニティは少し多めに用意します。
食品は国によって持ち込みが禁止されているものもあるので、よく確認をしながら準備をします。
パスポート、社用iPad、社員IDカードの3点セットは忘れてしまうと乗務ができないので、荷造り後にダブルチェックします。
お部屋の片付け
洗濯、お皿洗い、食品の消費、ゴミ捨ては必ず行うと決めています。
4日間家を空けることになるので、これらを残しておくと不衛生です。
お部屋を片付けておくと、翌日すっきりした気持ちでお仕事に行くことができますし、フライト後に疲れて帰宅してもすぐに休むことができます。
往路便の流れ
出社
CAの出社時間は、飛行機の出発予定時刻の1時間半ほど前です。
そして、出社時間の2時間ほど前に空港に着くようにしています。
今日は7時に空港に到着します。
ロッカーで制服に着替え、身支度を整えた後、空港内にあるオフィスでフライトの予習をします。
予習では、お客様情報の読み込み、担当ポジションの任務の確認、非常用装備品や搭載品のロケーションの確認、機内食のメニューや作り方を記憶すること等、スムーズにフライトができるよう準備をします。
ブリーフィング
出社時刻の9時までには、一緒にフライトするCAが1つのテーブルに集まります。
初めてフライトを共にするCAと挨拶を交わし、サービス方法や目標、注意点などを話し合う、ブリーフィングを行います。
また、CA用の必要な入国書類を揃え、記入します。
旅客搭乗準備
ブリーフィング後、関係者専用の保安検査所を通過してクリーンエリアへ移動します。
飛行機に乗り込んだら、各々担当するポジションにある非常用装備品や搭載品、機内食の漏れがないか、不審物がないかなどを確認し、終わったCAからサービスの準備を始めます。
キャプテン(パイロット)とCAが揃ったら、全員でのブリーフィングを行います。
キャプテンブリーフィングでは、フライトの所要時間や高度、速度、揺れが予想される箇所など、運行の情報を共有します。
また、キャプテンとCAも、初めてフライトを共にすることが多いので、緊急時に備えて顔合わせもしっかり行います。
準備を全て終えたら、地上係員に旅客搭乗準備が完了した事を知らせ、お客様をお迎えします。
この時点で出発予定時刻の30分前、午前10時頃になっています。
旅客搭乗、離陸
搭乗中はお客様を笑顔でお迎えすると同時に、座席をご案内したり、お手荷物の収納をお手伝いしたりします。
非常口座席にお座りのお客様には、緊急脱出時にお手伝いをしていただく旨の説明をします。
上位クラスでは、多頻度旅客の方へご挨拶をしたり、ウェルカムドリンクを配布したりもします。
午前10時30分、旅客が全員搭乗したら、ドアが閉まります。
ちなみに、もし空席に移動したい場合、このタイミングで移動できることが多いです。
また、ドアが閉まるタイミングまでにお手洗いは済ませておきましょう。
次にお手洗いを使えるのは、離陸してシートベルト着用サインが消灯した後です。
ドアクローズ後は、シートベルトを着用していただく、テーブルや背もたれを戻していただく、ギャレーの扉のロックをかける等、機内の準備を整えていきます。
全ての準備が終わるとCAも担当の座席に着席し、離陸に備えます。
着席中は、機内に異常がないか気を配りつつ、インターフォンを使用して、搭乗中に得たお客様情報を共有したり、上空でのサービスの最終的な確認をしたりしています。
また、このタイミングから機内で使用するのはニューヨークの時間になります。
腕時計と社用iPadの時間を13時間(サマータイム)戻します。
上空サービス
上空でのサービスは、路線や時間により異なります。
今回のフライトは、長距離路線のデイフライトなので、離陸後と着陸前の2回、まとまったお食事サービスを行います。
エコノミークラスでは、中間にも軽いスナックのサービスを行います。
勿論上位クラスであれば、飛行中いつでもメニューに載っているお食事を注文することができます。
離陸後のまとまったお食事サービスの回収まで終わったら、お客様がお休みになってしまう前に、機内販売と入国書類の配布を行います。
全てのサービスが落ち着いたら、お客様にゆっくりお休みいただけるよう、キャビンはライトダウンします。
サービス後は、CAも機内食をいただきます。
それぞれ担当したクラスのメニューで、余っているものを食べることが多いです。
着陸前のサービスまでの時間は、半分に分かれて休憩をとります。
飛行機上部の「クルーレスト」という屋根裏部屋のようなスペースに、簡易的なベッドがあります。
ニューヨーク便では、2〜3時間くらい眠ることができます。
残り半分のCAは、お客様の個別の注文に対応したり、着陸前のお食事サービスに備えてギャレー内を整理したりしています。
着陸、旅客降機
着陸前のサービスの後は、着陸に向けて徹底的にゴミを回収したり、復路便CAのためにギャレー内を整理し、引き継ぎ事項をメモに残したりします。
キャプテンからの着陸前の合図を受け取ったら、離陸時と同様に機内の準備を整え、担当の座席に着席し、着陸に備えます。
着陸して駐機場に到着したら、ドアを開けお客様をお見送りします。
全てのお客様の降機が終了したら、機内に残された忘れ物や不審物はないかを確認します。
自身の忘れ物がないかも確認したら、飛行機を降ります。
デブリーフィング、退社
関係者専用のルートで出国手続きをしたら、用意されたバスに乗って宿泊先に向かいます。
この間に、フライトの反省点や次便に活かせる点を話し合う、デブリーフィングを行います。
ホテルに到着してチェックインをしたら、次のフライトの出社日時や緊急の連絡先を共有して、解散し各々自室に向かいます。
約13時間のフライトを終え、退社時間はニューヨーク時間の正午12時頃、日本時間では出社翌日の午前1時です。
ステイ先での3日間
ステイ先での過ごし方
ステイ先での過ごし方は本当に人それぞれ、また時と場合により異なります。
街へ観光に出たり、アウトレットに行ってお買い物をしたり、スポーツ観戦をしたり等、旅行のように楽しむこともあります。
一方で、疲れていたり、しなくてはならない事務作業や勉強があったり、何度も訪れていて飽きていたりで、スーパーマーケットで食料を買い込んで自室に籠ることもあります。
また、ステイ中は、気の合う数人のCAと過ごすこともありますが、一人行動をすることも多くあります。
ステイ先での体調管理
復路便に向けての体調管理はとても大切です。
私は基本的には、復路便の出社時間の前に、長い睡眠時間を取れるように調整しています。
また、遊びに出る場合は現地時間で過ごすしかありませんが、自室で過ごす場合は時差ボケ防止の為に日本時間で過ごすこともあります。
どうしても寝られない時には、「メラトニン」というサプリを飲んでいます。
ステイ先のホテル
CAが会社から用意されるホテルは、空港近く、つまりダウンタウンから離れていることが多いです。
街中にホテルがあるステイ先は稀ですし当たりですね。
郊外のホテルの場合、ダウンタウンへ行きたければ、電車やバスを乗り継いで自力で行かなくてはなりません。
また、郊外故に、近くのスーパーマーケットやショッピングモールまでのシャトルバスがホテルから出ていることもあり、それらを利用して郊外でのんびり過ごすこともあります。
3日間のスケジュール例
上記を踏まえて、比較的アクティブな例を簡単にご紹介します。
1日目は正午に自室に到着したら、シャワーを浴びて仮眠をとります。
夜にまた眠れるよう、夕方には起床します。
往路便で仲良くなったCA数人で、ホテル近くのレストランにディナーに行きます。
2日目は朝起床し、電車に乗って、一人でマンハッタンに向かいます。
カフェ巡りをしたり、ブロードウェイでミュージカルを見たり、お土産のお菓子やコスメを購入したりします。
復路便の出社時間は午後16時なので、直前まで眠っていられるように、この日は夜更かしをして午前3時まで起きています。
3日目は10時間たっぷり睡眠をとり、午後13時に起床します。
身支度を整え、フライトの予習をして、出社します。
復路便の流れ
復路便の出社時間は、空港とホテルの距離によりますが、大体飛行機の出発時間の2〜3時間前と決められています。
午後16時、制服を着てホテルのロビーに出社し、全員でバスに乗って空港に向かいます。
その後は、往路便と同様の流れでフライトをして、帰国します。
オフィスでのデブリーフィングまで終えて、フライトを共にしたCAにお礼の挨拶をしたら、ロッカーで私服に着替え、退社します。
退社時間は、日本を発った日から数えて4日目の午後22時頃です。
フライト後の過ごし方
睡眠
長時間労働による疲労と時差による寝不足で、ロングフライト後は泥のように眠ります。
帰宅後は片付けもそこそこにしてまずは12時間以上眠り、体もお肌も復活させています。
湯船に浸かる
海外では湯船に浸かることができないホテルが多いので、日本の自宅に帰ってゆっくり湯船に浸かるのは至福の時間です。
湯船に浸かることで、足の疲れも取れやすくなりますし、質の良い睡眠が取れるようになります。
和食
たった4日間のお仕事ですが、その間に口にするのは、高カロリーな機内食、ジャンキーな現地のお料理、添加物多めのインスタント食品やお菓子等になってしまいがちです。
それ故、日本に帰国すると、ヘルシーで美味しい和食が食べたくなります。
旅行に行く
上記のようにのんびり疲れをとって過ごすことが多い一方で、帰国早々旅行に行くこともあります。
CAのオフ(お休み)は、曜日などは決められておらず、ランダムなシフト制です。
そして、お休みの多くは1オフや2オフ(連休)ですが、ニューヨーク便のようなロングフライトの後は、3オフをいただけることが多くなっています。
せっかくの3オフを利用して国内旅行をするのも良いですし、有給を繋げて海外旅行をすることもできます。
会社の福利厚生で飛行機に安く乗ることができることもあり、月に一度は旅行をしているようなタフなCAも多くいます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回の記事では、現役の国際線の客室乗務員さんに、長距離フライトに乗務する際のスケジュールについて書いていただきました。
CAさんのスケジュールを知ると、お仕事で海外に行き、観光ができるなんて羨ましいなと思う一方で、体力勝負でかなりハードなお仕事でもあるのだなと感じました。
それでは、最後までお読みいただきありがとうございました。